化粧品・コスメの広告表現ノウハウ
化粧品の広告表現は薬事法(薬機法)によって表現ルールが決まっています。難しいように感じますが、やり方を覚えれば意外と簡単、最初に表現したいキャッチコピーや文章を作り、ルール違反をしていなかどうかを確認をするだけです。
化粧品OEMに製造は依頼しますが、あくまでも自社ブランド、化粧品OEMメーカーは製品チェックのみなので広告部分は基本対象外となります。キャッチコピー考案やライティングは自分で行わなければ意味がありません、その前提知識として「薬機法」の基本的なルール(OK/NG)を知っておく必要があります。
過激な違反表現を行うと広告代理店に掲載拒否されたり、グーグル検索から除外されたりとデメリットが多いので注意して下さい。
化粧品・コスメはイメージも大事です。キャッチコピー次第で売上が7倍近く変わる事もあるので、広告表現についてはルールを守りつつも「攻める」事がポイントになります。ここでは薬機法(旧名称、薬事法)についてわかりやすく説明して行きます。
薬事法(薬機法)とは
薬事法、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」の4種類ついての品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行う事を目的としています。それに伴い、医薬品等の製造・販売・流通に関する規定はもちろん、医薬品等の表示・広告、薬局の開設に関する内容等についても定める法律です。
参考サイト「薬事法ドットコム」:https://www.yakujihou.com/content/yakkihou.html
参考サイト「ウィキペディア 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」wikipedia医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
化粧品OEMメーカも基準となる法律に沿って製品作りを行い、ブランドメーカーを通じて市場に出しています。
薬機法の対象になるのは4種類
薬機法対象の対象となるのは「医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器」の4種です。 化粧品・医薬部外品も厚生労働省の定める「薬機法」で管理されています。表現についても、細かく決められています。広告についても「化粧品」「医薬部外品」が管理対象になり、広告表現について薬機法ルールで決められた範囲内で表現しているかどうかが判断基準となります。
ただ表現についてはいわゆる「グレーゾーン」があります。このグレーゾーンを活用して広告表現の「幅」を広げるのが売上にも影響する大切なポイントになります。 最初は少し手間取るかもしれませんが、表現方法のバリエーションについては参考例を沢山ストックして、活用する方法が最も有効です。
自分自身の知識とする事でスキルアップにも確実につながりますので一つの方法として挑戦してみて下さい。 表現については、参考例を含めて次の章で説明して行きますので、是非活用して下さい。
化粧品OEMメーカーも製品については当然責任を負います。基準を厳しめにしている所、グレーゾーンの幅を大きくしている所等、それぞれに自社内で決めたガイドラインに添って運用されているので、製品パッケージ作成の際には必ず確認を行います。
広告についてはメーカーが運用主体、責任者となるので、必ずチェック作業を行って下さい。特にPOP等一度作ってしまうと修正出来ない物に関しては要注意です。
広告表現の方法について
前項目で説明しましたが、「医薬部外品」「化粧品」については最もグレーゾーンが大きく、表現方法が沢山あります。 表現の基本として、効果効能(効き目)がはっきりと言えるもの「医薬品・医薬部外品」、言えない物「化粧品」となります。例えば「肩こりが治ります」は医薬品、「しみ、そばかすを防ぐ」は医薬部外品、「お肌に潤いをあたえる」は化粧品等、言える事は医薬品、部外品になるほどはっきりと言えます。
ここでは医薬部外品と化粧品のそれぞれの表現範囲を下記で説明します。 医薬部外品(薬用化粧品)8種類における表現範囲薬用化粧品の効能または効果の範囲について 化粧品における56の表現範囲 化粧品の効能効果の範囲について 上記の効能に表現範囲内の言葉を使用すれば、薬事法としては違反になりません。
ポイントとして、メイクアップ商品は「隠す、カバー」する事が目的なので、表現がスキンケアと違ってきます。ファンデーションは皮膚をカバーするので、スキンケアではNGの「気になるなるシミ、しわをカバー」「白い肌へ(メーキャップ効果)」と言う言葉がつかえます。医薬部外品では「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」の表現なので、最初は判別しにくいかもしれませんが都度チェックを行って下さい。
ただ世の中には表現範囲内の言葉以外でも薬機法に違反せずに使われている言葉も沢山あります。日本語の多岐にわたる表現、薬機法回避のテクニックを表現範囲に準じて考えてアイディアを出すこれが広告表現の面白さでもあります。
注意点として、薬機法や広告表現の規制については厚生労働省、消費者庁などの管轄省庁の見解による所が大きいので、積極的にセミナーに参加して、最新の情報を入手する様にして下さい。
基本となる広告表現
化粧品には、事実であれば標ぼう可能な効能効果が56個決められています。 使用できる標ぼうは、決めれられた範囲のみ。 但し意味が変わらない程度であれば読み替えも可能です。
この 「意味が変わらない程度であれば読み替え可能」がいわゆるグレーゾーンです。
参考サイト:「薬事法ドットコム 化粧品の効果の範囲」 https://www.yakujihou.com/content/5-C.html
参考資料PDF:「日本化粧品工業連合会 化粧品等の適正広告ガイドライン」https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20170906_ADguide.pdf
■化粧品で標ぼう可能な効能効果
頭皮・毛髪について
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。 (2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 (4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。 (6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。 (8)クシどおりをよくする。 (9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。 (11)フケ、カユミがとれる。 (12)フケ、カユミを抑える。 (13)毛髪の水分、油分を補い保つ。 (14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。 (16)毛髪の帯電を防止する。
皮膚について
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。 (20)肌のキメを整える。 (21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。 (23)肌をひきしめる。 (24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。 (26)皮膚の柔軟性を保つ。 (27)皮膚を保護する。 (28)皮膚の乾燥を防ぐ。 (29)肌を柔らげる。 (30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。 (32)肌を滑らかにする。 (33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひがそり後の肌を整える。 (35)あせもを防ぐ(打粉)。 (36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。 香りについて (38)芳香を与える。
爪について
(39)爪を保護する。 (40)爪をすこやかに保つ。 (41)爪にうるおいを与える。
唇について
(42)口唇の荒れを防ぐ。 (43)口唇のキメを整える。 (44)口唇にうるおいを与える。 (45)口唇をすこやかにする。 (46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。 (48)口唇を滑らかにする。
オーラルケアについて
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。 (53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
皮膚について
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注意事項
注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。 ※化粧品は、本来そのほとんどが薬理作用によってその効能効果が認められたものではないので、 認められた効能効果以外の薬理作用による効能効果の表現はできません。
※前記の表に掲げる効能効果以外に「化粧品くずれを防ぐ」「小じわを目立たなく見せる」 「みずみずしい肌に見せる」等のメーキャップ効果及び「清涼感を与える」「爽快にする」等の 使用感を表示し、広告することは事実に反しない限り標ぼう可能となります。 なお、基礎化粧品等においても、メーキャップ効果及び使用感について事実であれば 表現することができます。
■「(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。」の標ぼうについて 平成23年7月21日薬食初0721第1号医薬食品局長通知「化粧品の効能効果の範囲の改定について」に より、化粧品の効能の範囲に「乾燥による小じわを目立たなくする。」の効能が追加されました。 この効能の標ぼうについては、他の(1)~(55)までの効能と違い、以下の内容に留意することと されております。
(1)それぞれの品目について、実際の効能に見合うことの確認または評価を行う際には、製造販売 業者の責任において、日本香粧品学会の「化粧品機能評価法ガイドライン」の「新規効能取得の ための抗シワ製品評価ガイドライン」に基づく試験またはそれと同等以上の適切な試験を おこない、効果を確認すること。 なお、試験等の実施を他の試験検査機関等に委託して差支えないが、試験結果や評価に係る資料に ついては、製造販売業者が保管し、試験の信頼性の確保及び効能に見合うことの判断は 当該製造販売業者の責任において行うこと。
(2)製造販売業者は、製品についての消費者等からの問い合わせに対し適切に対応できる体制を 整えるとともに、消費者から、効能に係る根拠を示すよう求められたときには、適切な 試験結果または評価に関する資料等の概要を提示した上でその根拠を説明すること。
(3)表示・広告を行うに当たっては、今回、日本化粧品工業連合会が新たに追加して定めた 「化粧品等の適正広告ガイドライン」に基づいて、消費者に対し適正な広告を行うよう 十分な配慮を行うこと。(別添参考資料参照) なお、従前通り、これらの効能以外のメーキャップ効果及び使用感等を表示し、 広告することは事実に反しない限り認められる。 (平成13年3月9日医薬監麻発第288号医薬局監視指導・麻薬対策課長通知) 注意事項 本表現は、日本香粧品学会の「化粧品機能評価法ガイドライン」の「新規効能取得のための抗シワ 製品評価ガイドライン」に基づく試験又はそれと同等以上の適切な試験を行い、効果が確認された 製品のみに標榜できる。
なお、日本化粧品工業連合会自主基準では、当該製品に「乾燥による小ジワを目立たなくする。」又は これを言い換えた表現を表示する場合、これらの効能に※のような印をつけたうえで、 「※効能評価試験済み」と製品に表記する。 ただし、「※効能評価試験済み」の表記は、大きな活字で記載する、色調を変える等強調して記載して はならない。
注意 販売ルートによる規制の違い
注意しなければいけないのが 「販売ルートによる規制の違い」です。 自社通販の場合は自社ガイドラインに添うので追加修正のコントロールが比較的簡単ですが、バラエティストア、テレビ通販はそれぞれの企業により規制ルールが違ってきます。自社で大丈夫だと思って商品にキャッチフレーズを印刷してしまい、バラエティ、テレビ通販で「NG」が出て販売が出来ないなど実例としては沢山あります。
リスク回避の一例として、商品には最低限の表記をして、お店の場合にはプライスカート等の販促物や、アテンションでの表現、ネットではキャッチコピー、記事で補足をする方法が有ります。POP等の修正が行えない物の場合はデザインの段階で販売先に確認してもらう様にして下さい。
主体とする販売ルートのガイドラインは必ず確認しておきましょう!
参考リンク:「Yahoo 広告ガイドライン」https://promotionalads.yahoo.co.jp/online/guideline/
参考リンク:「日本化粧品工業連合会 化粧品等の適正広告ガイドライン」※ダウンロート資料有りhttps://www.jcia.org/user/business/advertising/
まとめ
- 表現については企画段階からアイディアを考案しておくと役に立ちます。
- 化粧品OEMメーカーは製品の薬事チェック、広告に関してはメーカー作成となるので薬機法の最低限の知識は必要です。
- 56の可能表現を基本として、グレーゾーンを活用し表現アイディアを考え、表現ストックをしておきましょう。
- キャッチコピーを商品パッケージに印刷する前に、細心の注意を払い必ず薬機法に添った確認を行って下さい。
- OEMメーカーに薬事チェックをお願いしましょう。※OEMメーカーが「製造販売元」の場合はOEMが必ず薬事チェックを行います。
- メーキャップ、化粧品、医薬部外品により表現できる事、出来ない事があるので確認を行って下さい。
- 販路が決まっている場合は、事前にガイドラインの確認を行います。
- 判断出来ない難しい表現については、POP、アテンション等を使い記載する事でリスクを回避する方法も有ります。
- 自社のみで決めず、「薬事法ドットコム」や化粧品広告に詳しい広告代理店等に相談する事も検討してみて下さい。
- 厚生労働省、消費者庁の最新情報をセミナー等を活用して定期的にチェックしましょう。
参考記事:「化粧品OEM 商品化までの進め方」https://cosme-expo.com/how-to-oemproduct
参考記事:「OEMにかかる費用」https://cosme-expo.com/oem-cost
参考記事:「後悔しないOEMの選び方」https://cosme-expo.com/oem-choice参考記事:「【ODM】とは?(OEMとの違い)」https://cosme-expo.com/what-is-oem
参考記事:「化粧品・コスメの不当な表示の禁止(景品表示法)」https://cosme-expo.com/keihinhyouzihou-cosme
おすすすめの「化粧品OEMメーカー」ランキングはこちら http://cosme-expo.com/ranking
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